セミナー
【平成24年度】危機管理コース(全6回)
- 目的
- ◆今年の特徴
本コースも今年で12年目を迎えました。バイアスなど疫学を実践するのに不可欠なエレメントについて解説し、実際のデータとSTATA統計ソフトを用いながら図表を作成する「疫学コース」に加え、アウトブレイクなどの健康危機管理対策を中心テーマとする「危機管理コース」創設しました。具体的には、2009年インフルエンザパンデミック、鳥インフルエンザ、スペイン風邪、SARS、ドイツ病原性大腸菌O104、HIV、結核など健康危機管理対策に関係する事例を使いながら、初期における疫学調査の重要性を中心的テーマとして扱います。
◆目 的
「疫学コース」
臨床研究をデザインし、解析できる人材を育成する。
「危機管理コース」
健康危機管理対策の中でもアウトブレイク時初期調査、データをどう分析するかに重点を置いて解説、演習、討論を行う。 - 日時
- 「危機管理コース」
2012年6月1日(金)〜2012年7月6日(金)
全て19:00〜21:00 - 場所
- 東京慈恵会医科大学
http://www.jikei.ac.jp/univ/access.html
大学1号館 4階講堂
http://www.jikei.ac.jp/univ/access_s.html - 費用
- 「危機管理コース」(全6回)
30,000円
(大学生・大学院生は15,000円)
(慈恵医大医学部学生・大学院生は無料) - 講師
- 浦島 充佳
(東京慈恵会医科大学 分子疫学研究室/[旧 臨床研究開発室]) - 対象
- 「危機管理コース」
危機管理関係者(企業、政府、地方自治体)、メディア、医療関係者、
保健所職員 - 説明
- お申込み方法 → オンラインより、お申し込み下さい
詳細
- I. 序論 食中毒調査
2012年6月1日
19:00〜21:00 - リスクの評価
感染症疫学基礎
病原性大腸菌O104
あなたは、ドイツのベルリンにあるコッホ研究所(The Robert Koch Institute)の研修生である。2011年5月19日、ハンブルグにある大学病院に3人の溶血性尿毒症侯群の小児が入院したと報告を受けた。しかも同じ日である。そこで翌日、あなたは他のスタッフと同病院に調査に赴くことになった。…. - II. SARS
2012年6月8日
19:00〜21:00 - 2003年SARSパンデミックの際、何があったかを振り返る。何故このようなことが発生し、人々はどうやってSARSを封じ込めることができたのか?実際のデータをみながら感染症数理モデルの原理も交えて解説する。
- III. パンデミック・インフルエンザ
2012年6月15日
19:00〜21:00 - @ 2009 Pandemic Influenza (H1N1)
あなたはCDCの豚インフルエンザ・サーベイランス・システムに所属するスタッフである。先に触れたように、最近豚インフルエンザの人感染例の報告頻度が増えてきていた。そして、4月以下のような報告が入ってきたのである。
- 2009年4月21日(火):2009年4月17日、南カリフォルニアで2人の発熱性呼吸器疾患の小児から今までのヒトインフルエンザ、ソ連風邪(H1N1)とは遺伝子的に異なる豚由来インフルエンザ(H1N1)が検出された。今のところ感染源不明、現在どれくらいこの型のインフルエンザに感染したものがいるか調査中。-
A 高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)
今まで健康だった3歳男児。1997年5月9日より発熱、咽頭痛、咳嗽が出現。症状が続くため5月15日に入院となる。症状は悪化し、5月18日小児集中治療室に入る。5月21日、ウイルス性肺炎による急性呼吸窮迫症候群およびライ症侯群で死亡。5月19日、気管より採取した検体からインフルエンザA (H5N1)を検出した。患児は発症前、病気の鳥に接触していたかもしれないとのこと。遺伝子を分析したところ、へモアグルチニンの分割部位付近に塩基性アミノ酸が多数分布する高病原性に属する鳥インフルエンザであることが判明した。あなたはCDC Epidemic Intelligence Service (EIS) のinfluenza branch にタッフとして勤務している。現地で調査することになった。。。。。 - IV. スペイン風邪 HIV
2012年6月22日
19:00〜21:00 - スペイン風邪
大正11(1922)年、日本の内務省がスペイン風邪の状況を克明に記した「流行性感冒」と題する報告書がある。本書物および人口動態統計を基に、日本におけるスペイン風邪の被害状況を解析していくことにする。
− 全世界を風靡した流行性感冒(スペイン風邪)は大正7年秋以来本邦に波及し、以来大正10年の春季に亘り継続的に3回の流行を来し、合計約2千3百80余万人の患者と約38万8千余人の死者とを出し疫学上稀に見る惨状を呈した。
当局は毎次の流行に接し常に学術上の知見に基づき最善策をつくし、予防に努め、あるいは防疫官を海外に派遣して欧米に於ける本病予防上に関する施設の実況を視察せしめ、また特に職員を置いて専ら予防方法の調査に従事せしめ、学者および実地家の意見を徴する等、本病予防上できることは全て行ったつもりである。
本病の予防方法は尚今後に於ける学術的研究に待たねばならないが、次の流行の際における対応など、今後の参考資料に足るものであると信ずる。内務省衛生局 −
エイズ・HIV
米国疾病対策センターがロサンジェルス在住5人のホモセクシャル男性に発生したカリニ肺炎をMMWRの1981年6月5日号に掲載したのが、人類がAcquired Immunodeficiency Syndrome (AIDS)の存在に気付くきっかけであった。何故ならカリニ肺炎は免疫抑制患者に診られるはずだが、この5人では発症以前そのようなことは無かったからである。しかも5人ともホモセクシュアル男性であったことから、性行為に伴うホモセクシュアルのライフスタイルとカリニ肺炎の間に何らかの因果関係があると予想された。以下はその5人中4例の臨床データが詳細に示してある。このケースに接する人は、既にAIDSはウイルス感染症であり、どのようによって伝播し、よってどのように予防すればよいか、あるいはどのように治療すればよいか多かれ少なかれ知っていると思う。しかし、本ケースを読み解く皆の時間を1981年春、すなわちAIDSウイルスが発見される前に戻して、あたかもCDCのEmergency Intelligence System (EIS) スタッフになったつもりで考えていただきたい。 - V. 脳炎
2012年6月29日
19:00〜21:00 - 毎年この州では1年を通して数人の脳炎を観るに過ぎない。しかも原因ウイルスは様々で1つのウイルスセロタイプによるものではない。その年の夏は記録的に暑く、1人の医師が突然の高熱と酩酊状態ではじまる疾患を3人たて続けに経験した。髄液検査では単核球が100−300に増加しており、細菌は培養されず抗生剤も効かなかった。その3人のうち2人は意識障害まで進展したが、何とか全員自然回復した。ことの次第を重要と考えた保健所はあなたに調査を依頼してきたのである。。。。。
- VI. 危機管理における意思決定
2012年7月6日
19:00〜21:00 - ピッグズ湾事件とキューバ危機
2つともケネディ大統領時代、キューバとの関係において起こった重大事例です。
前者は失敗、後者は成功であると一般的に考えられています。ほとんど同じ内閣なのに、何が違ったのか?危機発生時の意思決定について考え、その原理原則を模索します。
「データを読む」と題して、ワークショップを行います。
皆さんにはあるレーシングチームのオーナーになっていただき、レースに出場するか否かの意思決定をしてもらいます。