分子疫学研究室

過去のセミナー

【平成20年度】疫学デザインコース(4回)

目的
臨床研究のデザインができる人材を育成する
日時
“終了しました” 2008年5月末より開始
場所
東京慈恵会医科大学 大学1号館 4階講堂
費用
12,000円
(大学生・大学院生は6,000円)
(慈恵医学部学生および大学院生は無料)
講師
浦島 充佳(東京慈恵会医科大学 臨床研究開発室)
対象
医療関係者、CRO、製薬会社、医学・薬学系大学院生など
方法
スライド講義、ビデオ供覧、統計ソフト(STATA)、ワークショップ
説明
【指定図書】
なるべくセミナースタートまでに読んでおいて下さい
@ How to make クリニカルエビデンス(医学書院) 浦島 充佳 著
http://item.rakuten.co.jp/book/1674875/

A How to use クリニカルエビデンス(医学書院) 浦島 充佳 著
http://item.rakuten.co.jp/book/1694824/

お申込み方法 → オンラインより、お申し込み下さい

詳細

1. 2008年05月30日
19:00〜21:00
@ 序論(講義)
 患者さん1人1人を丁寧に診ることも大切ですが、疫学を使って、予防・あるいは治療が大勢の人々にとって有効なのか否かを判断することも極めて重要です。そこで序論としては、ビタミンが発見される前に疫学研究を用いて栄養の偏りが脚気発症につながることを証明した、東京慈恵会医科大学 学祖・高木兼寛の話を致します(ビデオ供覧)。そして、“私たちは何のために臨床研究を行うのか?”という命題について皆さんと討論したいと考えています。

A STATAの使い方 (演習)>
 備え付けのコンピュータを起動し、STATA(統計ソフト)の使い方からはじめます。
2. 2008年06月06日
19:00〜21:00
@ バイアス、交絡、偶然(講義)
 ある因子がある結果に関連することを議論するのに、『バイアス』『交絡』『偶然』の影響を否定できてはじめて結論ができます。疫学の概念からはじまり、『バイアス』『交絡』『偶然』にはどのようなものがあるのか、それぞれをどのように扱うべきかについてまで解説します。

A 臨床研究デザイン、リスクの指標(講義+演習)
 後半、臨床研究のデザイン、特に『ケース・コントロール研究』『コホート研究』『ランダム化臨床試験』の概要を示すとともに、『リスク比』『リスク差』『オッズ比』『95%信頼区間』『標準化』について説明します。
 内容が盛り沢山です。初心者の方は指定図書で予習しておいて下さい。
3. 2008年06月20日
19:00〜21:00
@ 統計学の目的、推論と検定(講義+演習)
 『バイアス』は、研究デザインを工夫することによって除去されます。『交絡』は、統計手法により補正することができます。そして、例えば2群間に差を検出したとき、偶然なのか、それとも本当に違うのか、これも統計を使って対処します。
 最初に『2項分布』と『95%信頼区間』についても重点的に解説します。次に、『正規分布』について話します。そして、「どのようなときにどの検定を使うのか?」、最もよく受ける質問ですが、これについても概説します。しかし、検定の詳細な原理には触れません。
 理論について講義したあとは、2万人以上の健康診断のデータを使って、どのような生活習慣がメタボリック症候群と関係するかについて、参加者とともにSTATAを使って検討していきたいと思います。例えば、メタボリック症候群にならないようにするには毎日朝食をとるとよいのか?意識して運動をした方がよいのか。。。などなどです。
 その際、『分布』『平均』『分散』『t 検定』などについても寄り道したいと思います。何故なら、先ずは理論よりも実際のデータを使って統計学の面白さを皆さんに実感していただきたいからです。
4. 2008年06月27日
19:00〜21:00
@ ブリストル王立小児病院
ブリストル王立小児病院では、心臓手術後の死亡率が高いのではないかと指摘を受けました。これが本当であるかどうか疫学的手法で検証していきたいと思います。
 皆さんも今まで習った知識を総動員して考えてみて下さい。

A データを読む(ワークショップ)
 最初は崇高な目的でプロジェクトを立ち上げたとしても、経済的プレッシャーなどから徐々に目指すものがずれてしまうことがあります。ベンチャー企業が最初に販売する薬物では、患者さんにとって有益であるか、思わぬ副作用が出ていないか、常に自問自答しながら慎重にことを進めることでしょう。
 しかし、古い製薬会社であれば、過去の経験から、新規開発した薬剤が市場に出回り一定以上の収益を得るのは当たり前といった流れが出来上がっているかもしれません。ましてや、全体の経営が思わしくないとき、副作用のシグナルがあっても、これを無視して突き進んでしまうことだってあるでしょう。アカデミアであれば、学会発表や論文作成が臨床研究のゴールとなりがちです。
 最終回は「データを読む」と題して、ワークショップを行います。皆さんにはあるレーシングチームのオーナーになっていただき、レースに出場するか否かの意思決定をしてもらいます。そして、“私たちは何のために臨床研究を行うのか?”という原点に戻ったところで、本コースを終了させたいと思います。