分子疫学研究室

過去のセミナー

【平成21年度】疫学基礎コース(5回)

目的
臨床研究のデザインができる人材を育成する
日時
2009年5月〜6月【終了しました】
場所
東京慈恵会医科大学
http://www.jikei.ac.jp/univ/access.html
大学1号館 4階講堂
http://www.jikei.ac.jp/univ/access_s.html
費用
16,000円
(大学生・大学院生は8,000円)
(慈恵医大医学部学生・大学院生は無料)
講師
浦島 充佳
(東京慈恵会医科大学 分子疫学研究室/[旧 臨床研究開発室])
対象
医療関係者、CRO、製薬会社、医学・薬学系大学院生など
方法
スライド講義、ビデオ供覧、統計ソフト(STATA)、ワークショップ
説明
★なるべくセミナースタートまでに読んでおいて下さい
【指定図書】
@ How to make クリニカルエビデンス(医学書院) 浦島 充佳 著
http://item.rakuten.co.jp/book/1674875/
A How to use クリニカルエビデンス(医学書院) 浦島 充佳 著
http://item.rakuten.co.jp/book/1694824/

★余力のある人は是非読んでみてください
【推薦図書】
B Epidemiology in Medicine, Charles H. Hennekens, Julie E. Buring, Sherry L. Mayrent. Little Brown and Company, Boston/Toronto
http://www.amazon.co.jp/Epidemiology-Medicine-Charles-H-Hennekens/dp/0316356360/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=english-books&qid=1237791047&sr=8-1

使用統計ソフト: STATA http://www.stata.com/
Single user in education:$740
Single user in corporation:$1,550
Single user in government:$1,550
※講堂備え付けのラップトップPCにはSTATAが導入されていますので、購入する必要はありません。しかし、講義を受講しただけですと、やがてSTATAの使い方を忘れてしまいます。そのため、少々値段がはりますが、My STATAを購入されることをお薦めします。この講義で触れる機能はSTATAの極一部であり、逆にこれ1つを使いこなせれば大概のことはできます。

お申込み方法 → オンラインより、お申し込み下さい
【現在受け付けておりません】

詳細

1. 2009年5月15日
19:00〜21:00
@序論(講義)
 患者さん1人1人をていねいに診ることも大切ですが、疫学を使って、ある予防あるいは治療が大勢の人々にとって有効なのか否かを判断することも極めて重要です。そこで序論としては、ビタミンが発見される前に疫学研究を用いて栄養の偏りが脚気発症につながることを証明した、慈恵医大学祖・高木兼寛の話をいたします(ビデオ供覧)。そして、『私たちは何のために臨床研究を行うのか?』という臨床研究の原点について皆さんと討論したいと考えています。

ASTATAの使い方(演習)
 備え付けのコンピュータを起動し、STATA(統計ソフト)の使い方からはじめます。
2. 2009年5月22日
19:00〜21:00
@バイアス・交絡・偶然(講義)
 ある因子がある結果に関連することを議論するのに、「バイアス・交絡・偶然」の影響を否定できてはじめて結論できます。疫学の概念からはじまり、「バイアス・交絡・偶然」にはどのようなものがあるか、それぞれをどのように扱うべきかについてまで解説します。

A臨床研究デザイン、リスクの指標(講義+演習)
 後半、臨床研究のデザイン、特に「ケース・コントロール研究」、「コホート研究」、「ランダム化臨床試験」の概要を示すとともに、「リスク比・リスク差・オッズ比・95%信頼区間・標準化」について説明します。内容が盛りだくさんです。初心者の方は指定図書で予習しておいてください。
3. 2009年5月29日
19:00〜21:00
@2回目で終わらなかった部分を解説します(講義+演習)


Aマッチングデータを用いた解析:実際のデータを解析してみよう(演習)

 最初に乳児突然死症候群(SIDS)の発生が妊娠中の因子と関係ないかどうか検討してみましょう。データは、1人の患者さんに対して1人の同年齢正常乳児を母親の年齢でマッチングしてあります。例えば母親が14歳であれば、乳児突然死症候群(SIDS)でない正常体重児を出産した14歳の母親をコントロールとして1人選びました。このようなマッチングデータはconditional logistic regression で解析します。最初の何例かを示すと以下のようになります。検討する因子として母親の喫煙、うつぶせ寝の有無、上気道感染の有無、保温過剰、出生時体重を選択しました。
4. 2009年6月5日
19:00〜21:00
@統計学の目的、推論と検定(講義+演習)
 「バイアス」は、研究デザインを工夫することによって除去されます。「交絡」は、統計手法により補正することができます。そして、例えば2群間に差を検出したとき、偶然なのか、それとも本当に違うのか、これも統計を使って対処します。
 最初に「2項分布」と「95%信頼区間」についても重点的に解説します。次に、「正規分布」について話します。そして、『どのようなときにどの検定を使うのか?』、最もよく受ける質問ですが、これについても概説します。しかし、検定の詳細な原理には触れません。
 理論について講義したあとは、2万人以上の健康診断のデータを使って、どのような生活習慣がメタボリック症候群と関係するかについて、参加者とともにSTATAを使って検討していきたいと思います。例えば、『メタボリック症候群にならないようにするには毎日朝食をとるとよいのか?意識して運動をした方がよいのか。。。』などなどです。その際、「分布・平均・分散・t検定」などについても寄り道したいと思います。何故なら、先ずは理論よりも実際のデータを使って統計学の面白さを皆さんに実感していただきたいからです。
5. 2009年6月12日
19:00〜21:00
@ブリストル王立小児病院(講義)
 ブリストル王立小児病院では、心臓手術後の死亡率が高いのではないかと指摘を受けました。これが本当であるかどうか疫学的手法で検証していきたいと思います。皆さんも今まで習った知識を総動員して考えてみてください。

Aカプランマイヤー生存曲線を書いてみよう(演習)
 多発性骨髄腫のデータをSTATAにペーストして「カプランマイヤー生存曲線」を描き、log-rank test、コックスハザードモデルを使ったハザード比を算出してもらいます。理論より先にデータ解析をしてもらうことにより、『統計解析って結構簡単なんだ!』ということを実感できるはずです。このセクションは、翌週からはじまる応用コースへの架け橋となります。

B遺伝疫学
 メンデルの法則からはじまり、SNPs 解析、DNA chip に対するhierarchical clustering まで浅く広く紹介します。特に調査する遺伝子の数が膨大であるとtype I error を起こしやすくなります。このような場合、permutation 2 sample t testが有用です。